2020年8月25日に経済産業省は、東京証券取引所と共同で「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」を選定し「DX銘柄2020」を発表しました。
その中でも、”デジタル時代を先導する企業”として、株式会社小松製作所、トラスコ中山株式会社が「DXグランプリ2020」として発表されました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
2004年に、この言葉を提唱したスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によると、その定義は
「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」
ことを指すそうです。
かなり、ふわっとした定義ですね。
経済産業省のDX推進ガイドラインVer1.0(平成30年12月)によると、
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
を指します。
最近、企業経営で注目されているのは、エリック・ストルターマン教授の定義というよりは、経済産業所の定義です。
「デジタル技術を駆使し、企業のビジネスモデルを抜本的に変えて、競合他社を圧倒する」と言い換えるとシンプルになりますね。
言葉の定期はそうなのですが、実際には結局DXって何のことか良くわからないと言われます。
何をやったら、DXなのとも聞かれます。
今回は、トラスコ中山株式会社の取り組みを元に、DXとは何なのかという点を解き明かしていきます。
トラスコ中山の事業内容
工具や屋外作業現場用機具などの卸売企業です。
約230万アイテムを取扱い、約40万アイテムの在庫を保有し、独自の即納体制で商品を供給しています。
プライベートブランド商品「TRUSCO」を59,500アイテム展開しています。
40万点のアイテムの在庫を独自の即納体制 というところが、既にDXのような予感がしますね。
トラスコ中山のDXの取り組み
トラスコ中山は、2020年1月に基幹システム「パラダイス」を刷新しています。
社内の業務改革とともに、問屋としてサプライチェーンの中流に位置するトラスコ中山が、ITを活用しサプライチェーン全体の商習慣を変え、利便性を高めることに繋がり、日本のモノづくりに貢献することができると考えているそうです。(トラスコ中山プレスリリースより)
取引先とのデータ連携手段を多種多様な形で用意し、その機能(在庫・物流・システム・データ)をプラットフォームとして利用できる環境を整備し、高度化しているそうです。
新規ビジネスの創出「MROストッカー」
トラスコ中山では以下のような新しいサービスを提供しています。
MROストッカーは販売店様と製造現場の利便性向上を目的としたプロツール(工場用副資材)の調達サービスです。
工場や建設現場などのプロツール使用現場に隣接して設置し、現場でよく使用される間接材を、トラスコ中山の資産として棚に取り揃えます。「置き薬」の仕組みを最新のIT技術と高度なデータ分析を利用することで、先回りしてユーザー様の手元に必要になるプロツールを在庫化し、必要なときに必要な分だけ商品を利用することが可能となる究極の即納サービスです。
どこがDXなのか
上記の2点から以下の点がDXだと考えられます。
物や伝票の流れが複雑な卸売企業の業界において
1.取引先も含めたサプライチェーン全体をシステムでつなぐことで、自社の利便性だけでなく、取引先の利便性も上げている
2.デジタル技術を使って、MROストッカーのような今までにない新たなサービスを提供している。
この2点はトラスコ中山が大手だからできるようにも考えられますが、MROストッカーのような新しいサービスは、中小企業でも考えかた次第では提供できるのではないかと思います。
新たなサービスを構築するのに、どのようなデジタル技術を活用できるかのご相談も受け付けております。
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