最近、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を、よく目にするようになりました。
自社で適用できるDXの事例は無いのかと考えて検索する人も増えているようです。
検索してみると、事例として紹介されている物はあるけれども、自社にそのまま適用できる、ばっちりな成功例が無いなと思うことも多いです。
これは何故でしょうか?DXの本質に迫りつつ、この理由を書いていきたいと思います。
例えばUberを例に考えます
皆さんご存じのUberですが、ここでは日本で行われている、飲食店の配達ではなくて、タクシーのサービスについて考えていきます。
Uberは新型コロナウイルスの影響で苦戦はしていますが、タクシーという意味でDXの成功企業だと思います。
Uberは、タクシーを一台も所有していないが、世界最大のタクシー会社だと言えます。
タクシーを一台も持たずに、テクノロジーと発想で、顧客の問題を解決し、ここまでサービスを発展させました。
タクシーに感じる以下の問題をすべて解決しているのです。
・タクシーが捕まらない
・行き先を説明するのが難しい
・お金を払うのが面倒
・海外だとぼったくられそうで不安
では、この例を見て、タクシー会社の人は、真似してUberと同じサービスを作ってくれとIT業者に丸投げしたら、Uberのような企業になれるでしょうか?
答えはNoです。
これがDXの事例を検索しても自社のDXが進まないことの本質だと私は思っています。
なぜ「DX事例を検索してもDXが進まない」か
DXとは、「デジタル技術を駆使して、会社のビジネスや仕組みを抜本的に変えて、競合他社を圧倒する」ものです。
事例を検索して、そのまま当てはめる行為は、競合のただの真似で、競合他社を圧倒するものになりません。
もちろん、商圏が狭ければ、東京の飲食店のDX成功事例を、愛知県にそのまま適用するというような事はできると思います。
この方法は、一時的には成功すると思いますが、気が付くとみんな同じことをやっていて、差がなくなってしまうという現象が起きます。
最初に新しい事例を作った企業は、この状態になっても次の手を打てるポテンシャルは持っています。
しかし単純に真似をした企業は、新たなことを生み出す能力は持っていないのです。
それではどうやってDXを進めるか
中小企業で考えると、やりかたは二つあると思います。
1.他社の真似をする
2.他社の事例を参考にする
「1も2も今までの話と矛盾するよね」 と思うかもしれません。
実は1でも2でもDXが進むようにできるのです。
他社の真似をする方法
まずは、成功しているようなビジネスモデルを真似したとします。
最初は、そのまま真似をしても、商圏が違えばうまくいく可能性はあります。
ただ、先ほども述べたようにこの方法は、いずれ陳腐化します。
陳腐化したときに、更なる革新ができる体制を整えておけば、この時は自分たちのビジネスや商圏に合わせたDXを進められるようになります。
他社の事例を参考にする方法
この方法は、同業を真似してはいけません。
自社とは異なるビジネスを展開している会社を参考にするのです。
分かりやすいように、簡単な例で書きますが、フードコートで何か買ったときに渡される、出来上がると音がなるボタンがあると思います。
あのシステム(というほど複雑でもないですが)は、お店の人がボタンを押すと、指定した番号の機械が音が鳴るようになっています。
これって、あなたの会社のビジネスに使えませんか?
例えば、同じ飲食業であれば、混雑時に車で待っていてもらって、この装置を渡すという事はできませんか?(多分やってるとこあると思いますが…)
新型コロナウイルスの影響もあり、店内で待っていてもらうと混雑しますので、その対策にもなるかもしれません。
あの装置は、相手にストレスなく待ってもらう為の使い道としては、他にもいろいろありそうです。
自社のビジネス変革に使えそうな気がしませんか?
同じような装置で、席にあるボタンを押すと、店員さんが来てくれるボタンもありますよね?
これも何かに使えませんか?
実際にはこの程度の変化でDXが進むわけではないですが、常にこういった事を考えて自社のビジネスを変革しようとする姿勢が大切です。
また、突拍子もない発想を否定しない組織文化も大切です。
最後に
DXは、誰かにやってもらうものではなくて、自社でやる必要があり、真似をするだけで達成できる物でありません。
このような事を進められる、体制を作っていく必要があるのです。
その為に、外部の専門家に一時的に力を借りる事は有効な手段です。
そのような体制を作っていくお手伝いもさせていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。